ホームページやチラシをつくるとき、「どんなデザインがいいか?」「何を一番に見せる?」と迷うことがあると思います。
でも実は、デザインよりも先に考えるべきことがあります。
それが、“伝える順番”です。
どんなに見た目がきれいでも、順番を間違えると「伝わらない広告」になってしまうんです。
この記事では、実際の案件を通して感じた「成果につながる構成の考え方」を解説します。
目次
「デザイン」よりも「構成」が9割
ホームページやチラシを作る時、「きれいなデザイン」や「おしゃれな配色」といったビジュアル面に意識が向きがちです。
でも、実際に成果を出している媒体は、“流れ(構成)”がしっかりしています。
どんなに綺麗に作っても、読む人が「なぜこの話を聞くのか」わからないままだと、読む前に離脱されてしまいます。
良くない構成になってしまう3つの原因
構成がうまくいかない原因は、次の3つに集約されます。
1.目的があいまい
「とりあえずページを作りたい」「サービスを紹介したい」など目的がぼやけていると、読者の行動につながる流れが作れません。
2.読者目線より、自分目線で書いている
「これも伝えたい」「全部見てほしい」と情報を詰め込みすぎると、ユーザーは“どこを見ればいいのか”迷ってしまいます。
3.流れを考えずにデザインから入っている
見た目の段階で手を動かしてしまうと、構成の穴があとから埋めづらくなります。
結果、「読まれないおしゃれなLP」になってしまうことも・・・
ユーザーが読む“順番”をデザインする
構成を整えるというのは、単に「並び順を変える」ことではありません。
それは、読む人の心理の流れを設計すること。
ユーザーの感情は、ページの中でこんなふうに変化します。
この順番に沿って、テキストやビジュアルを配置していくことが、設計の基礎です。
初対面の人にいきなり売り込まないように、ページでも“心の距離”を少しずつ縮めていく流れが大切です。
よくある“構成のズレ”と直し方
デザインを見直すときに、まずチェックしてほしいのが「構成の順番」。
内容は良いのに、伝わる順番がズレているだけで“読まれないページ”になってしまうことが本当に多いです。
ここでは、初心者が特にやりがちな5つのズレを紹介します。
「何のページか」がすぐに伝わらない
ファーストビュー(最初に見える範囲)は、ユーザーが3秒で判断するゾーン。
ここで「何のページかわからない」と感じられると、スクロールされません。
メインコピーに「サービス名+変化のイメージ」をセットで入れましょう。
例:「あなたの“したい”をカタチに。初心者向けWEBデザインスクール」
この一文で、“誰に・何を・どうするページか”が瞬時に伝わります。
コンテンツの最初が「会社紹介」で始まる
トップで「○○株式会社は〜」と始めてしまうパターンです。
でも、読む人は会社の情報ではなく、「自分の悩みを解決してくれるか」を探しています。
最初に伝えるのは「誰の・どんな悩みを解決できるか」。
会社紹介は後半に持っていき、「安心感」を補強する位置づけにすると◎。
「問題 → 解決 → 実績 → 行動」の流れが崩れている
LPには、“人が自然に納得する順番”があります。
それがこの4ステップ。
途中でいきなり解決策を出したり、実績の前にボタンを置いてしまうと、読む人はついてこれません。
ページを印刷して、ブロックを順に読んでみましょう。
感情の流れが「納得 → 安心 → 行動」になっているかを確認するのがポイントです。
強みが点在していて“結局どこが良いのか”伝わらない
サービスの魅力を詰め込むあまり、“強み”があちこちに分散してしまうケース。
強みは「まとめて」「比較できる形で」伝えること。
たとえば、3つの特徴を並べるデザインにして「他との違い」を可視化しましょう。
問い合わせ導線が遠い
「いいな」と思ったのに、次のアクションを起こす導線がすぐに出てこない。
CTA(行動ボタン)は、
・ファーストビュー(上)
・信頼が積み上がった中盤
・締めの最後
の3か所に置くのが理想です。
興味を持った瞬間に“行動できる導線”をつくることが成果に直結します。
目的に合わせて選ぶ3つの構成パターン
「見せ方」よりも「話の運び方」が大切です。
同じサービスでも、“どういう順番で伝えるか”によって、まったく印象が変わります。
ここでは、目的に合わせて使い分けたい3つの構成パターンを紹介します。
1.お悩みを解決するストーリータイプ
読む人の“気持ち”を起点にして、自然にサービス紹介へと導く構成です。
「わかる、それ私のことだ」と思ってもらうことが第一歩。
商品説明よりも前に、ユーザーの状況や悩みを代弁することで、ページ全体の理解度がぐっと上がります。
- ユーザーの課題を提示
- その背景や原因を説明
- サービスがどのように解決するか
- 利用の流れ・概要を説明
- 問い合わせ・相談導線につなげる
- 「なぜ必要なのか」を理解してもらいたいサービス
- 課題解決型のビジネス(リフォーム、コンサル、教育など)
冒頭の“共感”で興味を引き、「あなたのためのサービスです」と自然に伝わる流れをつくるのがコツ。
いきなり“商品名”を出すより、“あるある”から入る方が記憶に残ります。
2.安心感を積み上げる信頼構築タイプ
「この会社に任せて大丈夫そう」と思ってもらうことを目的とした構成です。
特徴やサービス説明よりも、“人”や“考え方”を通じて安心感を育てていく流れがポイント。
契約や来院などの“決断”を伴うサービスに特に効果的です。
- サービス・事業の概要
- 方針や理念(なぜこの取り組みをしているのか)
- お客様の声・導入事例
- よくある質問やサポート内容
- 問い合わせ・相談導線につなげる
- 実績や信頼性を重視されるサービス
- 高単価・長期契約型の業種(住宅、BtoB、クリニックなど)
代表の想い、現場スタッフの姿勢、対応の丁寧さなど、“人の誠実さ”が伝わる情報を丁寧に載せることが信頼構築の近道です。
3.判断を助ける比較・選択サポートタイプ
「どれを選べばいいかわからない」と迷うユーザーのための構成です。
自社の宣伝よりも、“選び方のガイド役”になることを意識します。
ユーザーに判断基準を与えることで、結果的に自社の立ち位置が明確になり、信頼につながります。
- 一般的な選び方の基準を提示(価格・サポート・品質など)
- それぞれの特徴・注意点を説明
- その中で自社の立ち位置を明確化
- 実際に利用したときの流れ・効果
- 問い合わせ・相談導線
- 「自社の強み」を押し出しすぎず、誠実に案内したい場合
- 競合が多く、比較検討が前提の業界(スクール、SaaS、プラン比較型サービスなど)
「どっちが良いか」ではなく、「どう選べば自分に合うか」を整理してあげる視点が大切。
“売り手”ではなく“ガイド役”の姿勢で書くと、信頼と共感の両方を得られます。
デザインより先に、構成をデザインしよう
デザインは“構成”の上に乗る表現手段にすぎません。
どれだけ美しいデザインでも、構成がずれていると伝わらないのです。
デザインは“見た目の正解”、構成は“伝わり方の正解”
たとえば、
「見やすくなったのに、問い合わせが増えない」
「写真を変えたのに、クリックされない」
そんなとき、多くの人は“デザインの出来”を疑います。
でも本当は、デザインの前にある「構成=ストーリーの順番」が間違っている場合がほとんどです。
LPは、読み手の“理解の流れ”を設計することから始まります。
伝えたい順番を整えるだけで、反応が見違えることもあります。
構成を決めることは、ユーザー体験をデザインすること
構成とは、「どんな順番で、どんな気持ちの変化を生むか」を設計する作業です。
つまり、構成を考えることはユーザー体験(UX)をデザインすることと同じ。
・最初に共感してもらう
・次に信頼してもらう
・そして行動したくなる
この流れを意識して作るだけで、自然と“読まれるページ”になります。
構成が決まると、デザインの迷いが消える
構成がしっかり決まっていると、どこを大きく見せるか、どの写真を置くか、どんな余白を使うか——
デザインの判断がすべて明確になります。
逆に、構成が曖昧なままデザインに入ると、見た目だけを整えようとしても、メッセージがぼやけてしまいます。
デザインは構成を助けるための“翻訳”ツール。
順番が決まれば、見せ方にも一貫性が生まれます。
構成とは、相手への思いやり
ページを読む人は、あなたのサービスを知らない状態からスタートします。
「自分に関係あるのか?」
「本当に信頼できるのか?」
「今行動するべきか?」
常に、心の中でそう問いかけています。
その迷いに寄り添いながら、ひとつずつ答えを用意していくこと。
それが「構成を考える」ということです。
構成は、言葉やデザインの前にある“おもてなし”の設計です。
クライアントに喜ばれる制作物を作る人は、「見せ方」よりも「伝わり方」を設計できる人です。
構成を整えることは、デザインの基礎体力。
順番をデザインできるようになれば、どんなデザインも迷わず組み立てられるようになります。
構成を考える前に、必ず決めるべき3つのこと
構成を考える前に“土台”をしっかり決めておくことが大切です。
どんなにデザインや文章を工夫しても、この3つがあいまいなままだと、全体の流れがブレてしまいます。
1.誰に向けて作るか(ターゲット)
まず最初に決めるべきは「誰に向けるか」です。
これがぼやけていると、メッセージのトーンも訴求ポイントも定まりません。
たとえば──
・「これから開業する30代の美容師さん」
・「リフォームを検討している50代のご夫婦」
・「副業でWebデザインを学びたい主婦の方」
ここまで具体的に想定することで、「共感できる言葉」や「響くビジュアル」が自然と見えてきます。
ターゲットを“絞る”ことは、伝わり方を“広げる”ための第一歩です。
2.何をしてほしいか(ゴール)
次に決めるのは、「最終的に何をしてほしいか」。
必ずゴール(行動の目的)があります。
たとえば──
・無料相談の申込み
・LINE登録
・資料ダウンロード
・予約フォームの送信
このゴールが明確になると、ページ全体の構成が逆算できます。
CTA(ボタン)の位置や文言、導入からのストーリーの流れも、すべて「行動」に向けて組み立てられるようになります。
3.どういう流れで導くか(ストーリー)
最後に考えるのが、「どんな順番で読者を導くか」というストーリー設計です。
多くの初心者が「見た目」から考えてしまいますが、成果を出す媒体は必ず“感情の流れ”で設計されています。
基本の流れはこの4ステップ👇
- 共感(あなたの悩み、わかります)
- 理解・気づき(なるほど、そういうことか)
- 信頼(この人なら任せられそう)
- 行動(私もやってみよう!)
この順番を意識して構成を作るだけで、読まれるページから「行動されるページ」へと変わります。
デザインやコピーは、すべてこのストーリーを“補う役割”として考えるのがポイントです。
構成づくりは、文章力よりも「思いやりの設計力」です。
相手がどう感じるか、どんな順番なら納得できるかを考えましょう。
デザインは「構成を伝える道具」
デザインの役割は“飾ること”ではなく、“構成を伝えること”です。
デザインは、読者の理解を助け、ストーリーをスムーズに読ませるための「ナビゲーション」のような存在。
構成という“設計図”があってこそ、デザインの意味が生まれます。
構成が決まれば、デザインの迷いが減る
デザインが苦手な人の多くは、「何をどう配置すればいいかわからない」と感じています。
その原因の多くは、構成(=ページの流れ)が決まっていないことにあります。
構成が固まれば──
・どこを目立たせるべきか
・どんなビジュアルが合うか
・どの順番で見せるか
これらの判断がスムーズにできるようになります。
デザインの迷いは、“順番の迷い”から生まれているんです。
情報の優先順位を視覚的にサポートする
デザインのもうひとつの役割は、情報の「優先順位」を視覚的に示すことです。
たとえば──
- 重要な言葉はフォントサイズを大きく
- 一文を読みやすくするために余白を多めに
- セクションごとに背景色を変えてリズムを作る
こうした視覚的な工夫が、読者の理解を助け、「スッと読める」ページに変えていきます。
構成の意図をデザインで補う。これが“伝わるデザイン”の基本です。
構成=相手への思いやり
構成を考えることは、読む人の時間と集中力を大切にすること。
つまり、「相手への思いやり」です。
「どんな順番ならわかりやすいかな?」
「どこで不安になりそうかな?」
──そんな想像力こそが、プロのデザイナーの資質です。
デザインの美しさは、思いやりの積み重ねから生まれます。
そしてその第一歩が、「構成を整えること」。
構成を制する人は、相手の心を動かせる人です。
まとめ|“伝わる順番”は、どんなデザインにも通じる
「構成の順番」はチラシやLP(ランディングページ)、会社サイト、採用サイトなど、あらゆるデザインにも共通します。
中でも、LP(ランディングページ)は「構成の順番」が特に見えやすい媒体です。
だからこそ、構成を学ぶには最適な題材なので、世の中のLPを分析してみると構成の大切さに気付きやすいです。
デザインは「伝えるための技術」、構成は「伝わるための戦略」。
順番を意識できるデザイナーは、クライアントから信頼される“戦略家”にもなれます。
すべてのデザインは「読み手の体験設計」
- チラシなら、手に取って最初に目に入る言葉。
- Webサイトなら、ファーストビューから下層ページへ流れる導線。
- パンフレットなら、ページをめくるたびに深まるストーリー。
どれも「読み手にどう動いてもらうか」を考える順番=構成が土台です。
構成が整理されていれば、自然と読む人の理解も行動もスムーズになります。
デザインは“順番を伝えるための装置”
見た目を整えることが目的ではなく、「何を」「どんな順に」「どう感じてもらうか」をデザインで見せていく。
その意識があるだけで、同じ作品でも説得力がまるで違ってきます。
LPは構成の実践練習に最適な教材です
LP制作は、短いページの中でストーリーをどう設計するかの実践練習。
ここで“構成の筋トレ”をしておくと、複数ページのサイト構成や印刷物の流れづくりにも自然と応用できるようになります。
構成を意識してデザインを組み立てられるようになると、「デザインが上手い人」から「伝えるのが上手い人」へと成長します。
それが、クライアントにとって“頼れるデザイナー”になる第一歩です。


